【東洋医学で診る流産の原因】

繰り返し流産を起こす要因として、内分泌系異常、夫婦染色体異常、抗リン脂質抗体、血液凝固異常などの病気や症状があります。

しかし、これらがあるからと言って必ず流産になる訳ではありません。

厚生労働省不育症研究班の調査によると、全国の不育症外来で検査を受けた患者さんの約65%は、偶発的流産・リスク因子不明(異常なし)だったと報告されています。

偶発的流産とは、受精卵の染色体異常による自然流産です。

不育症(習慣流産)ではない自然流産を繰り返している人が、これだけ多くいるのです。

異常をもつ精子か卵子が受精すると、受精卵も染色体異常を有することになり、自然流産に繋がると考えられています。

しかし異常な精子や卵子が作られる原因は、残念ながら現代医学(西洋医学)ではまだ解明されていません。

たとえ、正常な卵子と精子が受精しても、それぞれの核が合体する過程で何らかの異常が受精卵に生じることもある、と言われています。

妊娠の超初期については、西洋医学でも未だわからないことが多いのです。

精子や卵子の異常が、なぜそんなに高い頻度で起きるのでしょうか?

病院の検査で「異常なし」なのに、なぜ赤ちゃんを授かれない人がいるのでしょうか?

なぜ、不育症(習慣流産)の要因となる病気が引き起こされるのでしょうか?

そこに、流産の「根本原因」があると東洋医学では考えています。

では、流産の根本原因についてお話ししていきたいと思います。

1.東洋医学における「冷え」の本質

東洋医学では昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。

近年、西洋医学の分野でも「冷え」と病気の関係について注目され、免疫力や生殖機能の低下、また、自律神経の乱れなど身体の大切な機能の低下が「冷え」と関係しているといわれるようになってきました。

西洋医学でいう「冷え」とは、「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」と言うように「低体温である」、「手足が冷たい」などというような「冷熱」の冷えを指しています。

一方、東洋医学における「冷え」は、温度感覚の冷えだけではなく、実はもっと大きな意味があるのです。

では、東洋医学における「冷え」について、詳しくお話ししたいと思います。

(1)生理的な冷え

人は誰でも「精気」を持ってこの世に生を受けます。※精気≒生命力やエネルギー

そして日々、人はほんの少しずつこのエネルギー(≒精気)を使いながら暮らし、年齢とともに非常にゆっくりとエネルギーは低下していきます。

エネルギーが減っていくことで体の様々な機能がゆっくりと衰えていき、、エネルギーを使い切ると人は寿命を迎えます。

東洋医学では「エネルギー(≒精気)が減少して、体の機能が本来の働きをしなくなっていくこと」を「体が冷える」といいます。

そして寿命を迎えるとすべての機能が停止して、体はまさに冷たくなります。

これはすべての人に起こる「生理的な冷え」で、誰も避けては通れないものです。

生まれた瞬間からとてもとても僅かですが「生理的な冷え」は始まっているのです。

(2)病的な冷え

仕事のし過ぎ、過度のストレス、食べ過ぎや飲み過ぎ、事故などで外傷を受けた時などが要因となり、エネルギーの低下を増長させ「生理的な冷え」とは異なる「病的な冷え」を生じます。

そして、だんだんと不快な症状が現れてきます。初めは軽い肩こりや腰痛、むくみ、軽度な月経痛などの不調です。

無理をしなければ、いつの間にか治ってしまう症状です。

ところが、無理が続きエネルギーの減衰が大きくなってくると、慢性的な肩こりや腰痛、手足の冷えや頭痛、イライラ、倦怠感などの自律神経症状、重い月経痛や月経不順、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患、不妊、流産など様々な症状があらわれます。

さらに「病的な冷え」が強くなると、不育症(習慣流産)とも関連するSLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原病や糖尿病など、現代医学でも治療が難しい病気を招くことになります。

このように病気や悩ましい症状を引き起こすことになる「エネルギー(≒精気)の低下」を「病的な冷え」といいます。

これが東洋医学における「冷え」の本質で、病の根本原因となる「根元的な冷え」です。

特に現代の女性は家庭と仕事の両立など、生活の多様化によるストレスで「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が生じやすくなっていると言われています。

では、なぜ「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が生じると、流産や不妊をはじめとする、色々な症状や病気を招くことになるのでしょうか?

「根元的な冷え」が生じると、一時的に自律神経の調整力(自己治癒力)は低下し、自律神経のバランスに偏りが生じます。

交感神経が緊張して、副交感神経の働きは抑制されて血管が収縮し、血流が悪くなります。

血流が悪くなると、手足の冷えなどの症状があらわれます。なぜなら、体温は主に内臓でつくられ、血流にのって全身に運ばれているからです。

この時に休息をとったり気分転換などをすれば、やがて「根元的な冷え」は解消されて、自律神経を調整する力(自己治癒力)は回復します。

そして、調整力(自己治癒力)によって、自律神経のバランスは整い、副交感神経の働きが優位となって血管は拡張して血行は戻り、手足の冷えなどの症状は治ります。

ところが、無理したり悩み事を抱え続けると「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」はますます強くなります。

その結果、調整力(自己治癒力)はさらに低下し、交感神経は過緊張に陥り、自律神経のバランスは慢性的に崩れてしまいます。

自律神経の乱れはホルモン分泌に影響を及ぼします。

ホルモンが正常に分泌されなくなると、卵巣や精巣の機能は低下し、卵子や精子の質も低下してきます。

その結果、染色体などの異常を持った受精卵ができてしまい、流産を招くことになったり、ホルモンバランスの乱れにより受精卵が着床する子宮内膜の成長に影響を及ぼします。

一般に、ストレスは妊娠に良くないと言われるのは、このような理由からです。

また、「根元的な冷え」は、妊娠力(自己治癒力)も低下させてしまいます。

健康的な受精卵がつくられ子宮内膜に着床し成長していくには、妊娠力(自己治癒力)が欠かせません。

ただ単にホルモンや栄養が足りていれば、妊娠するわけではありません。

妊娠力(自己治癒力)があるからこそ、健康な卵子をつくり、子宮内膜をふかふかに育て、そして、子宮内膜に着床した受精卵を育むことができるのです。

また、卵巣や精巣が健康で、しっかり機能する状態であることも大切です。

私たちの体の細胞は、再生力(自己治癒力)によって、毎日新しく生まれ変わっています。

卵巣や精巣など生殖器の細胞も日々作り替えられることで、健康な卵子や精子をつくる機能を保ち、良質な卵子と精子が出会うことで、正常な受精卵となります。

しかし、再生力(自己治癒力)が弱まると、元気な細胞に生まれ変われなくなり、卵巣や精巣の機能が徐々に低下してきます。

その結果、異常を持った卵子や精子が作られる頻度が高くなってしまうのです

また、健康な細胞に生まれ変わるためには、新鮮な酸素と栄養が必要です。これを1つ1つの細胞に運んでいるのは血流(≒気血の流れ)です。

ところが、体が冷えて血行が悪くなると、十分な酸素や栄養が届かなくなり、健康な細胞に再生されにくくなります。

妊娠力や再生力(自己治癒力)の低下が軽度のうちは、病院で検査しても何の異常も見つからない、偶発的流産(自然流産)、あるいはリスク因子不明(原因不明)と診断されることもあるでしょう。

しかし、これは検査結果に現れないだけであって、妊娠力や再生力(自己治癒力)が少しずつ低下しているのです。

東洋医学でいう「未病」の状態、つまり、見た目は健康(検査では異常なし)でも、妊娠する力が弱ってきている状態と言えます。

このように、「根元的な冷え」により妊娠力や再生力(自己治癒力)が低下してしまうと、異常を持った卵子や精子が作られる頻度は高くなり、その結果、偶発的流産(自然流産)を起こす可能性も高まるのです。

近年増えてきた子宮筋腫も「冷え」が原因です。

東洋医学では、筋腫は「しこり」と診ます。しこりは、熱源・栄養源である「血(けつ)」の流れが 長期間停滞することにより形成されていきます。

つまり、筋腫(しこり)は熱の塊です。

体温は血流によって全身に運ばれていることからも、血(けつ)が停滞することでできる筋腫は、熱の塊であることがわかっていただけると思います。

では、なぜ筋腫(=熱の塊)が体内に形成されるのでしょうか?

それは、体の芯が冷えているからです。これ以上冷やさないように筋腫(=熱の塊)ができてしまうのです。

子宮筋腫の根本原因は冷えなのです。

【流産予防の鍼灸ケア】

病院では薬物療法など西洋医学が得意とする治療が施され、流産を乗り越え妊娠に至る人がいます。

一方、不育症や習慣流産の要因になっている病気の治療をしても、妊娠によいと言われることを色々試しても、効果があらわれない人もいます。

また、病院の検査で「異常なし」でも、流産を繰り返してしまう方もたくさんいます。

【冷えをとり流産を予防する鍼灸治療】

東洋医学に基づく鍼灸治療は、鍼(はり)とお灸で、気血のめぐりを良くして「冷え」をとり、低下してしまった自己治癒力の回復を導きます。

体のすみずみに新鮮な血液が行き渡り、温かな体になることで、本来の自己治癒力(妊娠力や再生力など)が戻ってきます。

卵巣や子宮、精巣に十分な酸素と栄養が届き、新しい元気な細胞に生まれ変わります。

卵胞が成熟して良質な卵子が育ち、子宮内膜はふかふかベッドのような厚さとやわらかさが保たれ、受精卵(胞胚)が着床しやすい環境が整います。

精巣では運動性の高い精子がつくられるようになります。

また、流産の要因となる病気にも強い身体へ改善されていきます。

そしてなにより、流産予防には、心をリラックスさせることもとても大切です。

深く思い悩んだり、ストレスを抱えていると交感神経が過剰に働き、血管が収縮して体が冷えてきます。

鍼灸は、血管の収縮と拡張をコントロールしている自律神経にもアプローチするので、交感神経と副交感神経のバランスが整い、血行が改善されてきます。

また自律神経が深く関与している、女性ホルモンもバランスよく分泌され、健康な卵子が育ち妊娠の可能性が高まります。

近年アメリカの研究で、鍼による皮膚刺激が知覚神経を通して脳の視床下部に届き、自律神経系の働きを調整することがわかってきました。

鍼灸治療がなぜ流産予防によいのか、科学的にもわかってきたのです。

鍼灸治療には、精神安定作用があることも明らかになっています。鍼灸治療によりリラックス作用のあるエンドルフィンやエンケファリンなどのホルモンが分泌されることがわかり、今注目されています。

心と体が元気になる鍼灸ケアは、赤ちゃんを授かるのにとても適した治療法で、病院で受ける治療に鍼灸治療を併用すると、より一層効果的です。

東洋医学と西洋医学、それぞれ赤ちゃんを授かるためにできることがあります。

病院で施される薬物療法は、血栓を予防するなど妊娠の成立をサポートしてくれる、素晴しい医療です。

そして東洋医学に基づく鍼灸治療は、流産の根本原因(=冷え)を解消し、自己治癒力(妊娠力など)を高める医術です。

自己治癒力が回復すれば、病院で施される治療の効果は大いに発揮され、妊娠の可能性はさらに高まります。

一般に自然流産は染色体異常なことが大半なので、予防法はないと言われています。

しかし鍼灸治療で冷えをとり、卵巣と精巣の働きを高め、母体である子宮の機能を向上させることが、流産の予防につながると考えます。

不育症(習慣流産)でお悩みの方も、免疫力や血液凝固など、本来、体に備わっている機能を正常な状態に導くことで、妊娠の可能性はさらに高くなると考えます。

流産経験のある方が当院を訪れ、多くの人が自己治癒力を回復することで妊娠されていきます。

トリアス鍼灸接骨院では「流産の根本原因(=冷え)を解消し、自己治癒力を高めて妊娠を導く」という根本治療を行っています。

 

流産するのではと不安を抱いている方、繰り返し流産を経験している方、不育症(習慣流産)治療中の方、ぜひ一度、トリアス鍼灸接骨院へご相談ください。

冷えをとり、体の働きを最大限に高めれば、きっとかわいい赤ちゃんに恵まれることでしょう。