受精する確率を高めるには、排卵期に性交することが必須です。

一般検査で問題が見つからなかった場合、まずは正確な排卵日を知り、自然妊娠のチャンスを増やしていきましょう。

そこで超音波検査や尿中のホルモン検査を病気で受け、排卵日を正確に予測し、性交を行い、自然に妊娠する確率を上げるのが医師によるタイミング指導です。

卵胞は一日1~2㎜ずつ大きくなり、直径18~22㎜程度になると排卵します。

排卵日近くなったら病院へ行き、経膣超音波検査で卵胞の大きさを測り、尿中のLH(黄体化ホルモン)の値を調べます。

排卵の20~40時間前になるとピークに達しますので、目安にすると良いでしょう。

その他にも子宮内膜の厚さや、頸管粘液検査など複合的に様子観察をして、排卵予測をする場合めあります。

一番重要なのは、妊娠しやすさのピークは排卵日より前にあるということです。

排卵4日前から妊娠の可能性が上がり、排卵2日前~前日が最も妊娠しやすいタイミングです。

~排卵誘発剤を使ったタイミング指導~

自然周期によるタイミング指導でも妊娠にいたらない場合は、排卵誘発剤を使用することもあります。

排卵誘発剤を使うことで複数の卵子を排卵させ、受精する確率を上げる方法です。

はじめはクロミフェンなどの飲み薬を使用し、妊娠しない時には注射します。

※HMG(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)や
FSH(卵胞刺激ホルモン)で卵巣を刺激し、卵胞が成熟したところで、次に※HCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を注射し排卵を起こします。

これらの治療の副作用として、※卵巣過剰刺激症候群になって卵巣が腫れることがあります。

また卵子がたくさん排卵され受精すれば、多胎妊娠の可能性が高くなります。

※HMG(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン):卵巣を刺激して卵胞を育てる薬。
FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体ホルモン)を含みます。

※HCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン):排卵を促す薬。
投与すると36~44時間後に排卵が起こります。

※卵巣過剰刺激症候群(OHSS):卵巣全体が腫れたり、腹水や胸水などが溜まる症状のこと。
HMG注射をした患者の約10%に見られます。
卵巣が大きくなるにつれ、下腹部が重苦しく、膨満感や不快感、痛みなどを起こします。

~タイミング法はどのくらいの期間行うべき?~

不妊の改善の第一歩でもあるタイミング法。

実際どのくらい行えば効果があるのでしょうか?

タイミング法を何回行うかは年齢や希望にもよりますが、一般的には6周期が目安です。

なぜなら、不妊因子のないカップルが排卵時期を狙って性行為をした場合、89%の人が6周期までに、99%の人が12周期までに妊娠したというデータがあるからです。

当然年齢にもよりますが、6周期成功しなければ、なんらかの不妊因子がある可能性が高いと考えることができるのです。

6周期で結果が出なければ、それ以上回数を重ねるよりも、人工授精へ進める方が近道だと言えるでしょう。

~タイミング法をうまく行うポイント~

■健康的な身体をつくること

妊娠するためには夫婦ともに健康でなければいけません。

気を付けるべきは、規則正しい生活をすること。

とくに睡眠不足や栄養不足はホルモンバランスを崩す原因となるため注意しましょう。

また、身体が冷えないようにすることも大切です。

■パートナーの協力を得ること

妊娠はパートナーがいてこそ成立するもの。

だからこそ、パートナーの協力は必要不可欠です。

排卵日にこだわり過ぎて性行為を義務化してしまうと、お互いストレスを溜めることになりかえって逆効果。

相手の気持ちを尊重し、無理のないようにしましょう。

■結果に一喜一憂しないこと

タイミング法の成功率はそれほど高くはありません。

妊活をするとついつい「妊娠したのでは?」と期待してしまいますが、期待が大きすぎると、その分落胆してしまうことに。

ショックが大き過ぎるとそれがストレスとなり、ホルモンバランスを崩してしまうこともあるため、一喜一憂しないように気を付けましょう。

■長くトライしすぎないこと

できるだけ高度な治療をせずに妊娠したいと思う気持ちから、何度もタイミング法にトライする人も大勢います。

しかし、健康的な人の場合約8割の人が半年以内に、約9割の人が1年以内に妊娠すると言われています。それ以上経っても妊娠兆候がない場合には、早めに方法を切り替えましょう。

長いチャレンジはストレスになることはもちろん、大事な時間を無駄にしてしまうことにもなります。

タイミング法では、あまり躍起になるのは逆効果。

やはり心の健康があってこそ妊娠は叶います。

たまには夫婦で妊活を忘れて遊びに行ったりするのはとてもおすすめです。

結果に一喜一憂すると、せっかくの妊活もただ辛くなるだけ。

他人と比べないようにすることも大事です。

心の健康を一番に考え、夫婦ともに無理のない妊活を進めていきましょう。