①排卵誘発剤の注射をする
よりたくさんの卵子を採取するために、排卵誘発剤の注射をします。
排卵誘発剤の注射法には、GnRHアゴニストを使用するロング法とショート法、GnRHアンタゴニスト法など色々な方法があります。
~ロング法・ショート法・アンタゴニスト法~
3つの卵巣刺激法のどれかを選択して、採卵の準備を行うことになります。
医師と話をする前に、言葉の知識を入れておかないと話がわからなくなってしまいますので、この3つの卵巣刺激法について、大まかな説明をしたいと思います。
体外受精をする時には卵巣から採卵しないといけないのですが、この採卵はとても難しく、卵巣で目一杯育った卵子を、排卵直前で採卵しないといけません。
ただ普通にしていたらいつ排卵するかわからないし、そもそもしっかりと卵子が育っているかどうかというのもわかりません。
そこで生理の周期をなるべく完璧にコントロールするために、卵巣を人為的に刺激して卵胞の発育をさせる方法が卵巣刺激法です。
この採卵のための排卵刺激法は、基本的には、
●排卵誘発剤によって卵巣内の卵胞を育てる
●自然排卵しないように排卵抑制剤を使う
●卵胞の成長が確認できたら、排卵促進剤で排卵を促す
●排卵直前に通院して採卵する
という流れになります。
ここで出てくる排卵誘発剤、排卵抑制剤、排卵促進剤の使用方法には色々な組み合わせがあり、効果や副作用が変わってくるため、医師が選択、場合によっては患者の希望に合わせて使用していきます。
採卵方法で最もスタンダードなのはロング法で、多嚢胞性卵巣症候群や、過去にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になったことが無い人の場合、最初はロング法またはショート法から始めるケースが多いようです。
ただし、ロング法は卵巣への負担が大きい方法なので、基本的には37歳以下の人、卵巣機能に問題が無い人が対象で、ショート法は38歳以上の人、卵巣機能が落ちている人が対象になります。
ただしショート法は、採卵数は多いものの卵子の質が低下しやすい、排卵コントロールがしづらい、といった欠点もあるので「ロング法がダメならショート法で絶対に大丈夫」というわけにはいかないようです。
そこでロング法でもショート法でも、あまり採卵が出来なかった場合に、アンタゴニスト法というのがあります。
また多嚢胞性卵巣症候群がある人、ロング法やショート法でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になった人の場合は、医師の判断によって最初からアンタゴニスト法になる場合もあります。
また最近では、低刺激法を使うクリニックも増えているようで、これは35歳以下で卵巣機能が優れている人に卵巣への刺激を少なくして、身体的負担や経済的負担を減らすことが出来る方法として注目されています。
【1】排卵抑制剤を使用
まずは排卵抑制剤を使用して、卵子が勝手に排卵されないようにコントロールします。
使用するタイミングや使用する薬剤は、排卵をコントロールする方法によって若干変わります。
ただ一般的にはGnRHアゴニスト製剤という点鼻薬を使うことが多く、どのくらいの期間、噴霧しなければならないのかは、排卵のコントロール方法によって変わります。
【2】排卵誘発剤を注射
次に排卵誘発剤を注射します。
排卵誘発剤を使うことで卵胞を成長させて、良質な卵子が採卵できるための準備をします。
ここで、あれ?と思う人がいるかもしれません。
最初に排卵抑制剤を使い次は排卵誘発剤を使うということは、同時に真逆のことをやっていますが、これは次のような目的があるんです。
卵巣の中で良質の卵子が成長するように排卵誘発剤を使用する一方、これがコントロールできずに排卵されてしまったら体外受精が出来ません。
そのため同時に排卵抑制剤を使用して「卵子は成長するけど、排卵が行われないようにする」ということを行うわけです。
排卵誘発剤で注射されるのはhMG製剤と呼ばれるもので、これは超音波検査で卵胞の大きさを毎日確認しながら注射しないとならないので、結果として一定期間、毎日通院する必要が出てしまいます。
注射が必要な期間については、排卵コントロール法によって変わります。
毎日の通院が難しい場合、自分で注射を打つこともできるので、希望する場合は医師にしっかりと相談をしてください。
注射の打ち方なども病院で指導してくれます。
【3】排卵促進剤を注射
卵胞が一定の大きさ(直径16mm~18mm)になってきたら、今度は排卵促進剤を注射します。
これで、卵子を成長させる最終段階の仕上げに入ります。
そして、排卵促進剤を注射したら、その34~36時間後に卵子を採卵することになります。
排卵促進剤として注射されるのはhCG製剤と言うのですが、この注射は結構痛みが出やすいようです。
肩に注射すると肩が上がらなくなることもあるので、仕事前に注射する時にはお尻に注射してもらうなどした方が良いかもしれません。
それとhCG製剤は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症することがあるので、注射後に下腹部に痛みが出るなど体の異常を感じたら、すぐに医師や病院のスタッフに相談して下さい。