※IVFは体外受精のことをいいます。
受精卵を子宮に戻す操作のことを胚移植といいますが、これをETといいます。
人工授精を数回行っても妊娠にいたらなかった場合、体外受精‐胚移植へのステップアップを考えます。
体外受精は、妻の卵巣の中から取り出した卵子と、夫から採取した精子を培養液の中で受精させ、受精卵を子宮に移植して着床させる方法です。
卵胞が発育する→排卵する→精子と出会い受精→受精卵が子宮に入る、という長い課程の多くの部分をバイパスできるので、ほとんどの不妊原因に対してとても有効な治療法になります。
また人工授精の1回の成功率が10%前後なのに対し、体外受精の成功率は30~40%と、妊娠の確率がかなり高まります。
ただこの妊娠率も妻の年齢次第で35歳以下なら40%程ですが、40歳を越えると10%程になり、44歳を越えると体外受精をしても妊娠の可能性は極めて低くなります。
体外受精はすでに日常的な医療行為で、医学の進歩に加えて不妊の改善に対する認識も高まり、生殖補助医療に対する抵抗感が少なくなったという背景もあります。
~体外受精のメリット・デメリット~
体外受精へステップアップする時には、体外受精と一般不妊の改善(人工授精を含む)のメリット・デメリットをよく考えてみましょう。
○体外受精のメリット
体外受精のメリットは、何といっても妊娠率が高いということです。
周期あたりの妊娠率は、タイミング指導の8倍、人工授精の4倍程度と考えてよいでしょう。
原因不明不妊の多くにピックアップ障害があるのではないかという説もあります。
ピックアップ障害とは、排卵された卵子を卵管采が卵管の中にうまく取り込めない状態をいいます。
精子と卵子が出会えないので、体外受精でないと妊娠はできません。
他にも体外受精でないと妊娠不可能なケースもあります。
これまで色々な治療を受けていて妊娠しない場合には、思いきって体外受精を受けることをおすすめします。
○体外受精のデメリット
まず一般不妊の改善に比べて、身体的にも経済的にも負担が大きくなります。
排卵誘発剤の注射を毎日受けたり、麻酔をかけて採卵を行ったりといった負担があげられます。
ただ排卵誘発剤は自己注射することもできますし、排卵誘発剤をあまり使わない低刺激法もあります。
採卵についても、無麻酔で行っているところもあるくらいで、麻酔をかければ強く痛むことはありません。
排卵誘発剤の副作用として、以前は卵巣が腫れたり腹水がたまったりする卵巣過剰刺激症候群がよく起こりましたが、最近は新薬の登場や薬の使い方の進歩によりほとんど起こりません。
そのほかのリスクとして、排卵後に腹腔内出血や腹膜炎などが起こることもありますが、非常に稀です。
経済的な負担としては保険が適用されないため数十万円の費用がかかりますが、これも※補助金がでるようになっています。
生まれてくる子の安全性については、長期予後は不明ですが、先天異常や染色体異常の率は通常妊娠と変わらないという報告が多いようです。
※~高知県の特定不妊の改善費助成金・補助金について~
高知県では、不妊の改善を行っていてなかなか妊娠できない夫婦に対して、高額な不妊の改善費を補助してくれる事業を展開しています。
対象となる治療は、医療保険が適用されない体外受精(IVF)及び顕微授精などの特定不妊の改善が対象で、それらの治療費の一部を助成してくる高知県特定不妊の改善費助成事業を開設しているのです。
不妊の改善中のカップルにとってはとっても嬉しい制度ですが、実は注意点があるのです。
高知県の特定不妊の改善費助成事業ですが、補助金給付を受けるにはなんと所得制限があるという事です。
具体的には夫婦合算の所得ベースで前年の所得の合計額が730万円未満である事が支給の条件ですので、お互いにフルタイム勤務の場合は特に注意が必要です。
なお、申請は自分が住んでいる自治体ごとに申請する必要がある為、高知県内の室戸市、高知市、安芸市、南国市、土佐市、須崎市、宿毛市、土佐清水市、四万十市、香南市、香美市、安芸郡、長岡郡、土佐郡、吾川郡、幡多郡等々それぞれの住所地を管轄する保健所に提出し、補助金を受け取りましょう。
申請するだけで補助金がもらえる反面、対象やルールはしっかりとありますので、事前にしっかりと下調べをしておくことが大事なのです。
~厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」~
対象者
(1) 特定不妊の改善以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦
(2) 治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦
対象となる治療:体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊の改善」といいます)
所得制限
730万円(夫婦合算の所得ベース)
給付の内容
(1) 特定不妊の改善に要した費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成する。
通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。
ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊の改善の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。
(2) (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く)
(3) 特定不妊の改善のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。
(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く)
以上が国が定める厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」です。
市町村独自の助成金と合わせて利用していきましょう。
~高知県不妊の改善費の助成制度の対象者は?~
全国各地のどの自治体も、給付を受ける為には法律上の婚姻関係にあることが大原則です。
もちろん高知県も例外ではなく、基本的に高知県で婚姻関係にある夫婦である事が前提条件です。
また、対象の治療法は体外受精及び顕微授精等の高度生殖医療であり、簡易的な不妊検査等は補助の対象外ですので注意が必要です。
なお夫婦以外の第三者から提供を受けた精子・卵子・胚による不妊の改善である卵子提供や、代理出産、借り腹によるものは対象となりません。
人工授精やタイミング法で結果がでず、体外受精もしくは顕微授精などの高度生殖医療にチャレンジする場合は事前にしっかりと補助金制度について調べておきましょう。
また、最新の詳細は必ず【公式】高知県不妊の改善費の助成制度HPで確認しましょう。
高知県特定不妊の改善費助成金において最も注意が必要なのが、平成26年度から(平成26年4月1日から)大きな変更があったという事です。
対象者の年齢が40歳未満か40歳以上で制度が変更されます。
ポイントは「初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢」がとても重要ですので注意しましょう。
このような変更点が数多くある為、2015年度以降に助成を受けようとする際には十分ご注意ください。
また、高知県の助成事業とは別に、市区町村が実施する助成事業もあります。
高知県に加えて、お住いの自治体の補助金ももらえる可能性があるので必ず事前にチェックしておきましょう。
締め切りは絶対に遵守し、治療後すぐに保健所へ申請を。
これが不妊の改善の補助金を申請するにあたって最重要項目といって良いでしょう。
たった一日、書類を出し忘れるだけで十数万円もの補助金を受け取れないことになるのです。
「知らなかった」「忘れていた」では意味がありませんので注意しましょう。
また自治体は、限られた予算の範囲内で助成を行っているため、年度末に予算が不足した場合、助成できないこともあるそうなので早め早めの申請を心がけましょう。
特にこの不妊の改善費助成金を受給することを前提に治療を行っているのであれば、なおさら注意が必要ですね。
また、不妊専門相談センター 「ここから相談室」では無料で不妊に関する相談を受け付けてくれるようです。
不妊の改善にとって、一人で悩んでしまうのはご法度です。
無料ですし、気軽に相談してはいかがでしょうか?