⑦妊娠判定
胚移植をした2週間後に通院して、妊娠判定をするのが一般的です。
市販の妊娠検査薬などで調べると、それより早い段階で陽性反応が出ることもあるようですがあまり確実性はありません。
基礎体温が高温のまま下がらないことがあっても同様で、一旦着床してもそれが続かないこともあるので注意が必要です。
化学流産という言葉がありますが、これは市販の妊娠検査薬で陽性反応が出ていたのに、着床が安定せずに流産してしまった場合を指します。
この場合は受精卵が体外に排出されているので、病院で処置する必要はないです。
~妊娠検査薬について~
妊活していればほぼ確実に買ってしまう妊娠検査薬ですが、私たちが思っているほど正確に妊娠を判定してくれるわけではないんです。
特に使い方を間違えると、不確定な情報に一喜一憂することになってしまいます。
妊娠検査薬が妊娠判定できるのは、なぜなのでしょうか?
排卵して受精すると、その1週間後には受精卵が子宮内膜に着床します(体外受精の場合も、採卵後1週間で着床します)
そして受精卵が着床すると、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)というホルモンが急激に増加します。
このホルモンは尿の中に排出されるようになるため、尿の中のhCGを測定することで、受精卵の着床が行われたかどうかを確認することが出来ます。
妊娠検査薬は、この尿中のhCGを検出することで受精卵の着床を判定し「妊娠の判定」としているわけです。
妊娠検査薬の説明書を読むと、大体「生理予定日の1週間後」の使用を推奨していると思います。
妊娠0週:最終月経開始日
妊娠2週:排卵(体外受精の場合は採卵)
妊娠3週:着床
妊娠4週:市販の妊娠判定薬で検査が可能になる(生理予定日)
妊娠5週:市販の妊娠判定薬の使用が推奨されている
排卵されるのが妊娠2週になるケースが多いので、これを基準にすると、その1週間後、つまり妊娠3週に受精卵が着床します。
体外受精であっても採卵後1週間で着床するので、やはり妊娠3週での着床は同じです。
このタイミングで体内のhCGが増加し始め、妊娠4週ごろになると、hCGが尿に出てくるのですが、最初はhCGの量が少ないため、一般的に妊娠検査薬は妊娠5週目、つまり「次の生理予定日の1週間後」から使うことが推奨されているわけです。
ここが悩ましいところなのですが、妊娠検査薬での妊娠判定と、産婦人科などの医師が行う妊娠判定の基準は少し違うようです。
市販の妊娠検査薬は尿中のhCG値だけで妊娠判定をしているのですが、実は、この段階での妊娠は継続しないケースも多いため、医師はこれだけで妊娠判定はしません。
妊娠5~6週に、超音波検査で胎嚢(胎児の部屋)を確認した段階、もしくは6~7週で胎児の心拍を確認してからが医師の「妊娠診断」になるケースがほとんどのようです。
ちなみに不妊の改善の場合、人工授精の2週間後、体外受精では採卵後2週間が妊娠判定のための最初の通院日になっているクリニックが多いようです。
妊娠0週:最終月経開始日
妊娠2週:排卵(体外受精の場合は採卵)
妊娠3週:着床
妊娠4週:市販の妊娠判定薬で検査が可能になる(生理予定日)
妊娠5週:市販の妊娠判定薬の使用が推奨
妊娠5~6週 :胎嚢が確認できる ※胎嚢・・・胎児が入っている袋
妊娠6~7週 :胎児の心拍が確認できる
妊娠8週 :妊娠状態をが安定
妊娠が確定するのは、やはり医師の判断を待たないといけません。
市販の妊娠検査薬は、あくまでも尿中のhCGの値が上昇したことを示すだけです。
ただ妊娠検査薬がある以上、少しでも早く妊娠を知りたいのはわかります。
そのため指示されている時期よりも早い段階で妊娠検査薬を使ってしまう、いわゆる「フライング」をしてしまう人も多いと思います。
医師の妊娠判定が待ちきれなくて、医師の診断の前に市販の妊娠検査薬を使ってみる人はいると思いますが、市販の妊娠検査薬で指示されている日よりも前に使ってしまう、いわゆるフライングは妊活では避けた方が良いです。
なぜなら、あまりにも情報が不確定すぎるからなんです。
~フライングとは?~
フライングと言うのは、妊娠検査薬で推奨している日より前に妊娠検査薬を使ってしまうことです。
別に悪いことではないのですが、とても悲しい思いをする確率が高いと言われているので個人的には避けて欲しいです。
ところが、妊活中だったり、不妊の改善を受けたりしている場合、一刻も早く妊娠判定を知りたい!という気持ちがあるため、どうしてもフライングをしてしまう人が後を絶ちません。
妊娠検査薬で陽性反応が出るということは、単に「尿中のhCGが増えました」という情報に過ぎません。
これは2つの意味で、過剰に一喜一憂しない方が良いのです。
妊娠検査薬の使用が推奨されるのは妊娠5週目あたりになります。
それまでは尿中に出てくるhCG値には個人差がかなりあるので、妊娠検査薬で反応しなくても、妊娠している可能性はあるわけです。
もっとも妊娠5週とは、医師が胎嚢の確認が出来るくらいなので、結局は医師に妊娠判定をしてもらった方が早いし正確です。
実は受精卵が着床しても、その後で胎嚢が確認されるまでに、胚が発育を停止してしまうケースが60%もあるというデータがあります。
つまりフライングで妊娠検査薬で陽性反応が出ても、医師によって胎嚢が確認されない可能性が60%もあり、このようなケースを化学流産と言います。
一般に「流産」と呼ばれるのは、胎嚢が確認された後、妊娠22週までに胚が発育を停止してしまうことですが、化学流産は、それ以前に発育停止をしてしまった場合を指すので、医師は「化学流産」を「流産」にはカウントしません。
フライングで妊娠の陽性判定が出ても、そのうちの60%が化学流産してしまいますから、この段階での陽性反応を見て一喜一憂するということは、あまりにも虚しく思えてしまいます。
どの段階で妊娠の可能性を知りたいのか?と言うのは、それぞれに価値観があると思います。
ただフライングをしてしまうと、かなりの確率で、間違った妊娠判定をしてしまう可能性があるということだけは理解しておくのがベターですね。