二人目不妊について①
「一人目はすんなりと授かったのに、二人目がなかなかできない!」
ーこのような状況で、自分達が不妊ではないかと疑うカップルは少なくないのではないでしょうか?
もともと何らかの不妊の原因があったのに、一人目は偶然に妊娠しただけかもしれません。
実際のところ、このようなケースは思いのほか多いのです。
また、夫婦のどちらも一人目の時より確実に年をとっていきます。
そしてその年数分だけ、卵子の老化が進んでいます。
一人目の時には何も問題なかった子宮や卵巣に病変が起きていることもありますし、男性の精子の産生能力も低下しているはずです。
一人目より二人目が授かりにくいのは、もっともなことなのです。
~不妊の症状に当てはまる?~
不妊とは「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないこと」を言います。
ここで気になるのが「一定期間」はどのくらいであるかということですが、日本産科婦人科学会では「1年というのが一般的である」と定義しています。
1人目を出産後、生理があり、一定の夫婦生活を送っているにも関わらず、1年以上2人目が妊娠できない場合は、二人目不妊と考えていいかもしれません。
出産後にホルモンのバランスが変化し、生理不順になったり無排卵になったりすることも考えられます。
また子宮内膜症を合併していたり、過去にクラミジアなどの骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると、妊娠しにくいことが明らかになっています。
これらの病気にかかった経験がある人や、出産後、生理のサイクルがなかなか戻らなかったり、基礎体温の測定で無排卵の可能性が高いグラフが示されたりした場合は、産婦人科を受診したほうがいいでしょう。
~一人目と二人目の違い~
一人目を自然に妊娠・出産できたということは、夫婦ともに生殖機能に大きな問題はないはず。
それなのに二人目が不妊になるのはなぜなのでしょう。
【卵子や排卵、卵管の問題】
女性は年齢が上がるごとに、卵子の数と質の低下などにより、妊娠が成立しにくくなります。
卵子の質の低下は20代後半から始まり、35歳くらいから加速し始めます。
30代前半で1人目を自然妊娠できたとしても、卵子の質の低下などが原因で、35歳過ぎるとなかなか妊娠できないということが考えられます。
また、卵管の「ピックアップ機構」がうまく働いていない可能性も考えられます。
卵管の末端にある「卵管采」は、卵巣から排卵する卵子をキャッチして、卵管内に導くピックアップ機構が備わっていますが、この機構が働かないと卵子は卵管に行くことができず、精子とは出会えないのです。
このピックアップ障害は、原因不明の機能性不妊症の原因として考えられています。
子宮内膜症を合併していたり、過去にクラミジアなどの骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると、卵管に癒着が起きている可能性があります。
もともと卵管が癒着していたり、狭くなったりという問題があったのに、1人目は幸運なことにうまく卵子が卵管を通り妊娠できたということもあります。
その場合、元々妊娠しづらい状況なので 2人目がなかなか妊娠できない‥ということになるかもしれません。
【育児や仕事のストレス】
育児は24時間365日待ったなし。
特に生まれて1年ほどは、ママも睡眠不足だったり、満足に食事を摂れなかったり、といったこともあるでしょう。
また子供の成長は嬉しいものですが、2〜3歳ともなると自我が発達して「言うことを聞いてくれない」「ワガママに手を焼いている」と悩むママも少なくありません。
育児休暇取得後、職場に復帰した場合は、育児と仕事との両立にかなりのエネルギーを使うことでしょう。
こうした育児や仕事のストレスが、ホルモンバランスの乱れの原因になることもあります。
【夫婦の関係性】
出産後、夫の子育てに対する考え方の違いなどを目の当たりにし、戸惑う妻も多いようです。
「仕事ばかりで子育てに協力してくれない」「育児に疲れた」などのストレスで、ホルモンのバランスが崩れたり、身体の調子がなかなか元に戻らなかったりするママもいることでしょう。
子育てに関する考え方の相違がきっかけで、夫婦の関係が冷え切ってしまうこともあります。
また、出産・育児をきっかけに「パートナーを異性として見られなくなった」という夫婦もいます。
異性として見られないからセックスの回数も減り、やがてセックスレスになるというケースもあるようです。
二人目不妊かも!?と思ったら、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。
迷っている間に母体の加齢が進み、さらに妊娠しづらくなる可能性もあります。
また、夫婦関係の見直しをすることも大切です。子ども中心の目線を、少しパートナーに移してみるだけで状況は克服できるかもしれません。
【自然妊娠を希望なら積極的に夫婦関係を】
育児は睡眠不足になりがちで、体力を激しく消耗します。
パートナーの相手よりも、体力を温存するために睡眠を優先したいというママもいることでしょう。
もちろん、十分な睡眠や体力の温存はストレスを軽減させる働きがあるため、ホルモンバランスを整え、妊娠しやすい体につながる可能性が高くなります。
しかし妊娠を望むのなら、パートナーとも積極的に夫婦生活を営むことを心がけましょう。
定期的に排卵・生理があり、それに合わせて夫婦生活を営めば、妊娠の可能性は高まります。
とはいえ「二人目不妊を克服しなければ」と力みすぎると、夫婦の関係もギクシャクしてしまうことも。
スキンシップやパートナーに寄り添う気持ちを心がける夫婦生活をすることで「自然に妊娠できた」となるかもしれません。
【ストレス軽減と生活習慣の見直し】
育児中は子ども優先の生活になるため、子どもが就寝した後に家事の後片付けをするママも多いことでしょう。
育児も家事もやらなければならないことが山積みなのに、ちっとも片付かないことにジレンマを抱えるママも多いかもしれません。
食事については、子どもの分は栄養バランスに気を配っていても、自分の分となるとおざなりになってしまうこともあるのではないでしょうか。
ストレス、睡眠不足、不規則な食事などが重なると「二人目不妊」の原因のひとつとされるホルモンバランスの乱れを招いてしまうかもしれません。
基本的なことですが、生活習慣を改善することはとても大切なことです。
きちんと睡眠時間を取ることと、栄養バランスが整った食事を規則的に摂ることを心がけましょう。
しかし「しっかり家事をこなさなければ」「子育てもきちんと」と自分を追い詰めすぎないようにしたいものです。
気持ちのゆとりと生活習慣の改善も、二人目不妊克服のカギと言えそうです。
【病院へ相談し、治療を始めてみる】
生活習慣も改善し、夫婦関係も良好なのに、なかなか妊娠できない……。そういった場合は、病院に相談し、治療を開始しましょう。
検査法や治療内容に関しては、改めてまた詳しくご説明します。