精子を異物と判断して抗体ができ排除しようとする免疫機能の異常です~

 
女性の体にとって精子は異物ですが、通常は精子に対する抗体が作られることはありません。
 
ところが、稀に精子に対する抗体を持っている女性がいます。
 
精子に対する抗体があると、せっかく射精された精子が頸管粘液に入ってこようとしても、抗体に攻撃されて動けなくなり、子宮に入れなくなってしまうのです。
 
精液所見に問題がなく、ヒューナーテストを何回か行っても結果が悪かった場合、女性に抗精子抗体がないかどうか調べます。
 

~抗精子抗体がある場合~

 
抗精子抗体は頸管粘液中だけにあるわけではなく、女性の体のどこにでもあるため、人工授精をして子宮腔まで精子を送り込んでも、子宮腔にいる抗体に攻撃され、精子は動けなくなります。
 
このため、抗精子抗体がある場合には体外受精が必要になります。
 
ただ抗精子抗体にも色々な種類があり、その中で不妊と関係するのは「精子不動化抗体」という抗体です。
 
その他の種類の抗体の場合には、体外受精をしなくても妊娠可能な場合もあります。
 
この精子不動化抗体があるかどうかは血液検査で調べます。
 
ちなみに「夫の精子と相性が悪いのですか?」などと聞いてくる人も多いのですが、抗精子抗体は全ての人の精子に対する共通の抗体で、夫婦の相性の問題ではありません。
 

~抗精子抗体のある男性もいる~

 
また男性に抗精子抗体がある場合もあります。
 
精巣に外傷を受けたことなどが原因で、自分の精子に対する抗体を作ってしまうのです。
 
抗精子抗体をもっていると精子が凝集して運動能力が低下したり、女性の体に入ると精子が死んでしまったりして受精できません。
 
この場合にも、妊娠するためには体外受精や顕微授精が必要になります。