①精液検査
 
~精子の数や状態を顕微鏡で観察する男性にとって、基本的な検査です~

2~3日以上(5日程度がベター)禁欲した後、マスターベーションで採取した新鮮な精液を、20~30分放置して液化させた後に顕微鏡で観察し、精液の色や量、精子の濃度、運動率や奇形率、白血球の有無などを調べる検査です。

昔は不妊の原因は女性側にあるというイメージを持たれていましたが、現在は約半分は男性側の原因であることが判明しています。

しかし、どちらに原因があるかを自己判断することは難しく「いつかできるだろう」と考えているうちに年齢を重ねてさらに妊娠しにくくなるというケースが増えています。

妊娠を望む夫婦はなるべく早く、そして二人一緒に検査を受けたいところです。

女性が卵巣や子宮の状態を知るのと同じように、男性も精子の状態を知っておくことは大切です。

とてもデリケートな問題でもあるので、夫婦間でしっかりと話し合い、納得した上で検査を受けるようにしましょう。

精液の採取は、病院で行う方法と自宅で行う方法があります。

自宅で行う場合は、病院に持っていく予定時間から逆算して採取する時間を確認しておきましょう。

また容器に入れた精液の保管については「人肌で温めて持っていく」「室温で十分」など諸説ありますが、自己判断せず、病院からの指示に従ってください。

精液検査には精液の採取が必要ですが、女性の多い産婦人科やクリニックで採精をするのが恥ずかしい、という男性は少なくありません。

自宅でも採取は可能ですが、できるだけ鮮度のいい状態で検査するためには、病院で採取した方が良いと指導を受けることもあります。

病院で精液の採取を行う際には、採精室という個室を利用することが多いようです。中から鍵がかけられる小部屋で、リクライニングシートなどに座って採精が可能です。

産婦人科やクリニックでも採精室をできるだけフロアの端に配置するなど、男性の気持ちもしっかりと配慮している病院も最近では多くなっています。

ただ、トイレで採精する病院もあるので、気になる方は事前に採精の方法も確認しておきましょう。

採取した精液、またその中の精子の状態を観察することによって、不妊につながる原因があるかどうかを判断します。

血液や膿が混ざっていないか、精液の量や濃度、精子の生存率や運動率や奇形率はどれくらいかなどをチェックします。

顕微鏡による目視だけでなく、精液検査専用の機械を用いる施設もあります。

精液検査の結果の見方は「生殖が可能な基準値としての下限」をクリアしているかどうかで、「どれだけあったらどれくらいの確率で妊娠するのか」という正確なデータがあるわけではありません。

2010年にWHOが精液検査における正常値として以下の数値を発表しています。

● 精液量:1.5ml以上

● 精子数:3900万以上

● 運動率:40パーセント以上

● 奇形率:96パーセント未満

● 精子濃度:1500万/ml以上

● 総運動精子数(総精子数×運動率):1560万以上

精子の数が少ない場合は「乏精子症」、精子がない場合は「無精子症」など、診断によっては即不妊の改善が必要になることもあります。

男性の精子はちょっとした体調不良やストレスでも動きが悪くなるなど、影響が出やすいものです。数や運動量も人によって異なるため、慎重に検査をする必要があります。

1. 複数回の精液検査で判断

男性の精液は毎日精巣で新しく作られるため、日々の生活習慣やストレスの影響を反映しやすいといわれています。そのため、少し間をおいて複数回検査し、全回の結果を総合的に見て、不妊原因の有無や程度が判断されます。

2. 複数回の検査は同一病院で

また、検査の頻度や検査前の禁欲期間といった検査条件は病院の考えによって異なります。検査条件を一定にしてより正しい結果を得るためにも、複数回の検査は同じ病院で受けましょう。

3. WHOのマニュアルに沿った検査を選ぶ

具体的には、WHOは精液全量を遠心分離器にかけて試験管の底にたまった細胞成分すべてを顕微鏡で調べるという方法ですが、実際には精液の一部だけを使って顕微鏡で調べて終わりという病院は少なくありません。
その場合でも精子が見つからなければ無精子症と診断しますが、使わなかった精液の中に精子がいる可能性があるのです。
こうした誤った結果を生まないために、WHOのマニュアルに沿った検査方法を採用している病院を選ぶと安心です。

精液検査を受けることで、精液や精子の状態をチェックするだけでなく静脈瘤などの疾患が発見される場合もあります。自分では気づかない異常を知ることができるというのは大きなメリットですね。

なかなか赤ちゃんを授かることができないと悩んでいる場合は、夫婦どちらかだけではなく、初回から二人で検査を受けて妊娠しにくい原因がないかをしっかりチェックしてもらうことをおすすめします。

②精巣生検
 ~精液検査で大きな問題があった場合、組織検査を行います~

精液検査と視診・触診の結果、重度乏精子症や無精子症と診断された場合は、精子を製造する精巣(睾丸)がどれだけ機能しているかを精巣組織の顕微鏡検査で調べる必要があります。

その検査を精巣生検といい、泌尿器科や男性不妊に力をいれている専門クリニックで受けることができます。

以前は精巣生検単独で行われていましたが、最近では「精巣内精子抽出法(TESE)」とセットで行われることが多くなっています。

具体的には精巣の一部を採取して組織検査をしつつ、もし精子が見つかれば冷凍保存して顕微授精に使用するというわけです。

また、高度の造精機能障害による無精子症の場合には、それらの方法では精子の採取が難しいため、精巣表面を顕微鏡で観察しながら、精子のいそうな精細管を見つけて組織を採取する「顕微鏡下精巣内精子抽出法(MDTESE)」を行います。

これらの検査にかかる時間は1~2時間程度ですみます。

もし精子が見つからなかった場合でも、精子になる直前の後期精子細胞が見つかれば、顕微授精に使うことが可能です。